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東京高等裁判所 昭和61年(く)96号 決定

少年 D・J(昭42.3.19生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣意は、申立人作成の抗告申立書に記載されているとおりであるから、これを引用する。

所論は、要するに、少年を中等少年院に送致した原決定には、処分の著しい不当がある、というのである。

そこで、一件記録を調査して検討すると、本件非行は、少年が無免許で、かつ、酒気を帯び(呼気1リットルにつき0.4ミリグラムのアルコールを身体に保有)て、普通乗用自動車を運転したというもので、その非行に至る経緯、非行の態様、少年の資質、性格、行動傾向、保護歴、保護環境等については、原決定が詳しく認定しているとおりであり、特に、少年は、これまでに道路交通法違反、毒物及び劇物取締法違反により保護的措置を経て不処分となり、更に昭和60年10月傷害により保護観察に付され、保護観察中であるにもかかわらず、その自覚に乏しく改善の効果が挙つていないこと、本件非行が単に無免許、酒気帯び運転というだけでなく、遊び半分の蛇行運転による無謀な運転の結果、物損事故をひき起しており、遵法精神に欠けるのみならず、少年の行動傾向に問題があることなどに照らすと、少年がすでに年長であることを考慮しても、所論の求める検察官送致にするよりも少年を矯正施設に収容し教育を施すことが相当である。してみると、少年を中等少年院送致に処した原決定の処分が著しく不当であるとは認められない。論旨は理由がない。

よつて、本件抗告は理由がないから、少年法33条1項後段によりこれを棄却することとし、少年審判規則50条に則り主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 石丸俊彦 裁判官 新矢悦二 日比幹夫)

〔参照〕 原審(東京家 昭61(少)104412号 昭61.4.3決定) 〈省略〉

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